• 2016年08月26日
• イタリア中部を24日早朝に襲ったマグニチュード(M)6.2の地震を受けて、イタリア政府は25日、非常事態を宣言した。余震が数百回と相次ぎ、救助作業が難航している。25日午後にはM4.3の強い余震が発生し、ただでさえ崩れかかっている建物から救助作業員たちが慌てて避難した。
• レンツィ首相は被災地域の復興に5000万ユーロ(約57億円)の拠出を約束し、被災住民への免税措置を発表した。さらに、ずさんな建築への批判が高まっていることから、建築基準を見直す新施策の導入を表明した。
• しかし首相は、イタリアの建物すべてを完全に耐震構造にできると期待するのは「ばかげている」と述べた。
• 倒壊した建物の中には、新しく改築・改修されたばかりのものもあるため、イタリア国内では、被災リスクが高い地域の建築基準について批判が高まっている。
• 歴史的地域では耐震基準の順守が免除されており、新築の場合でも耐震構造が取り入れられないことが多い。
観光客も犠牲に
犠牲者の数は少なくとも250人以上で、300人以上が病院で手当てを受けている。さらに数十人が瓦礫の下に閉じ込められているとみられる。
約5000人態勢の捜索作業は、25日も続いた。
建物の多くが危険な状態にあり、車内やテントなどで夜を明かした住民もいる。
イタリア赤十字は、民家のWiFiが捜索隊の通信を助けるとして、住民にパスワードの開放を求めた。
最も深刻な被害を受けたのは、アマトリーチェ、アルカ-タ、アックモーリ、ペスカーラ・デル・トロントの町村。通常は住民があまり多くないが、避暑地や観光地として人気の地域だけに、行方不明者数の推測は困難な状況だ。
BBCのジェニー・ヒル記者によると、町の75%が崩壊したアマトリーチェの捜索隊は報道陣や住民に、「町が崩れつつある」ため急ぎ退避するよう促している。
地元当局によると、少なくとも3人の英国人がアマトリーチェで死亡した。ルーマニア政府は、市民11人が行方不明だと明らかにした。
ペスカーラ・デル・トロント村では24日夜、がれきに17時間閉じ込められていた女の子が救出された。
捜索隊は、2009年に300人以上が死亡したイタリア中部ラクイラの地震後は、発生3日後にも被災者の救出があったことを念頭に、今回もさらに発見・救出ができるよう期待している。
しかし消防当局のロレンツォ・ボッティ氏は、時間との競争だと認めた。
「こうした環境のこうした状況で生存者を見つけるのは、かなり大変なことだ。望みを捨てずに作業を続けなくてはならない。そのためには、助けられる人が生きて自分たちの助けを待っていると信じないと、作業できない」
一方でアンサ通信(※ANSA通信のこと、イタリアの大手通信社)によると、アマトリーチェでは住民が避難した家への空き巣未遂の疑いで男が警察に逮捕された。
活断層が2つ走るイタリアは、地震頻発国。
イタリア・メディアの一部には、地震が起こりやすい地域で建物の耐震性向上になぜもっと力を入れなかったのか疑問視する声もあがっている。
作家ダーチャ・マライーニ氏は伊紙コリエール・デラ・セラに、「痛みよりも怒りの方が強いと言わざるをえない。このような破壊が避けられたと思うと、怒りがこみ上げる」と寄稿した。
BBCより