イタリア中部を襲ったマグニチュード(M)6.2の地震は、生存率が急速に低下するとされる「発生から72時間」が27日未明(日本時間同日午前)に経過した。イタリア政府当局は地震による死者が290人になったと発表した。被災地の一つマルケ州のアスコリピチェノではマッタレッラ大統領やレンツィ首相らが出席し、同州の犠牲者約50人の国葬が大聖堂で営まれた。
生存者の発見は絶望的とみられているが、救助隊員らは懸命の捜索活動を続けた。
地震は24日未明に発生。被害状況の正確な把握は困難だが、少なくとも15人が行方不明とされ、死者数は拡大する恐れがある。
政府は27日を国民服喪の日とし、国内は鎮魂ムードに包まれた。地震の規模の割に被害が拡大したのは政府の震災対策の不備が原因だとして、国民の間では「人災だ」との声も上がっている。
約230人が死亡し被害が集中したラツィオ州アマトリーチェは、石造りの古い建物の大半が崩壊するなど壊滅的な被害を受けた。政府は被災地を「歴史や文化的な背景を尊重し、元通りの姿に再建する」と強調するが、耐震性を備えた上で、歴史的街並みを復興するには長い時間と費用がかかりそうだ。
ANSA通信によると、アマトリーチェでは本震に加え、相次ぐ余震で建物や道路、橋の損害が拡大した。政府当局によると自宅が倒壊するなどして避難した人は推定2500人以上に上っている。
共同通信より